Re.エロから始める性欲生活 vol.2 ―無表情なラムが乱れるまで―
風が止まり、部屋の中には静けさが満ちていた。
古びた石造りの屋敷の一室。
そこにいたのは、ラムと俺――ふたりだけだった。
「……おかしいですね。
こんな状況で、あなたは私を求めるなんて」
ラムは、窓辺からゆっくりとこちらを振り返る。
ピンクの髪が光を反射し、その片目にだけ映る俺の姿を切り取った。
「それとも、命の危機の前では、本能に正直になるということですか?
変態さん」
相変わらずの毒舌。
けれど、その声はどこか柔らかかった。
彼女の指が、そっと首元のボタンにかかる。
「……ちょっとだけ、気が向いただけです。
勘違いしないで」
パチン、とボタンが外れる音。
その瞬間、部屋の空気が変わった。
ラムが一歩、また一歩と近づいてくる。
その足取りは静かで、しかし確実に俺の心をかき乱していく。
「あなたって……優しそうに見えて、目つきがいやらしいですね」
目の前に立った彼女は、膝をついて俺を見上げた。
氷のように冷たい瞳。
だけど、その奥には何か、熱いものが揺れていた。
「……あまり、見ないでください。
恥ずかしいので」
自分から近づいておいて、そんなことを言う。
でも、頬を染めて目を逸らすその仕草は――どんな色香よりも俺の理性を揺るがせた。
ラムの手が、そっと俺の腕に触れる。
指先はかすかに震えていて、けれどその震えには決意があった。
「……私、ずっと、我慢してました」
囁くような声。
肩越しに顔を寄せた彼女の吐息が、耳をかすめた。
「ずっと……あなたのこと、欲しかった」
その瞬間、何かが弾けた。
唇が重なる。
互いの吐息が交じり合う。
「……っ……ん……は……声……だしたら……怒りますから……」
彼女の声は、まるで鋭く張り詰めた弦が震えるように艶めいていた。
けれど、叫び声はない。
ただ、肩にしがみつき、唇を噛み、押し殺すような――
「……ふっ……あ……やっぱり……嫌いです……でも、好き……っ」
ラムは涙を浮かべながらも、心を許していた。
そして俺もまた、彼女の痛みも過去も全部、抱きしめたいと思った。
夜はまだ、終わらない。
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