その娘に出会った瞬間に、すべての理性は試されていた。

年上の上司に厳しくも温かく育てられ、信頼関係を築いてきた俺にとって、上司の家族は決して越えてはならない線の向こう側・・・そのはずだった。

しかしある日、仕事の手伝いを兼ねて訪れた上司の自宅で、その娘と出会った。

その娘は、眩しいほどの笑顔と、大人びた瞳を持った存在。

無垢さと誘惑が同居したような不思議な魅力に、俺はただ圧倒されていた。

最初は些細な会話から始まり、やがて日常に小さな変化が訪れる。

休憩時間の差し入れ、お礼のメール、そして何気ない言葉に隠された気持ち。

どこか距離を測りながらも、確実に近づいていくふたりの心。

理性が働けば働くほど、その背徳感が甘く重く心を締め付ける。

決して簡単には結ばれない関係。

けれど、そのぶん本気になったときの熱は、誰よりも強く、切ない。

その娘との裸の付き合いをしていくのに時間は掛からなかった。