花雫、天贄 はなしずく、あまにえ -参-
この村には、凶作の兆しが迫るときだけ行われる儀式がある。
その名を―――「神籬の儀(ひもろぎのぎ)」。
作物に命を支えられる村では、不穏な年になると年長者たちが「兆し読み」を行い、不作の可能性が告げられる。
そうなると、村人全員が神聖な場に集い「天の器」となる贄(にえ)を選ぶ。
贄に選ばれるのは、健康で心が強く、村人から信頼される者。
名誉である一方、重い責務に誰もが畏れを抱く。
贄は村の中心にある「神籬堂(ひもろぎどう)」に3日間こもり、
生命の舞を捧げ、断食しながら村人全員の名を唱え、祈
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