雁の母
51歳の渡海孝之は、久しぶりに京都にある実家のお寺にやってきた。
以前は父がこの小さな寺の住職を務めていたが、孝之が●●●だった頃に死去。
すでに母親もガンでこの世におらず、孝之は母方の叔母に引き取られて、東京に移り住んだ。
その後、別の住職が寺を継いだが、その住職も亡くなり、ついに廃寺になることに。
跡継ぎがおらず、残された財産を処分するために孝之はお寺にやってきたのだ。
孝之は懐かしい寺を見て、父親が母親の死後に入れ込んでいた愛人の存在を思い出す。
色の白いふっくらとした女で、年齢はおそらく30代。
祇園のクラブのホステスで、結婚もせずに客の子供を産み、その子を親に預けて水商売をしていた時に父と知り合ったらしい。
思い出に浸っていると、突然、彼女とうり二つの女性が話しかけてきて……。
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