紫の人
式島龍二は1年前、京都で八つ年下の幼馴染み・黒崎早紀子と再会した。
彼女は母の従兄弟の娘で、昔はよく家を行き来していた関係。
早紀子が小学生の時に彼女の両親が離婚し、遠くに引っ越してそれっきりになっていた。
積もる話を語り合った2人。
聞いたところによると、彼女は17歳の時に30歳年上の美術評論家と結婚。
やりたい放題の夫は他に愛人を作り、子供がいない早紀子は15年間も不自由なカゴの中に入れられているという。
あの頃少女だった早紀子が大人になり、仕草が艶っぽく、心惹かれた龍二。
彼女が不憫で仕方なかった。
そして1年ぶりに京都で再び会うことに。
早紀子は薄い紫のワンピースのスカート姿で、ほっそりとした足が見えている。
顔は相変わらず美しく、目鼻立ちが小づくりで、日本人形のようだ。
30歳を過ぎている人妻なのに少女の印象があった。
龍二は募った思いをぶつけ、彼女と身体を重ねてしまう。
妻子を捨ててまで、龍二は早紀子を救おうとするが、彼女には淫乱な裏の顔があって……。
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