迦陵頻伽の恋
70歳を超す老人・馬耳は30年以上前に起きたことを忘れられずにいた。
設計技師としてダム工事に従事していた時、山中で美しい鳴き声を聞いた。
その鳴き声の正体は、上半身は着物姿の美女、下半身は鳥という伝説の生き物‘迦陵頻伽(かりょうびんが)’であった。
ある日、同じ町内会で役員を務めるイラストレーター・風巻の作品の中に、その美女とそっくりな絵を発見。
いてもたってもいられず、この話をすると、風巻から思わぬ返事が返ってきた。「実は訳あって、我が家の離れで今、これを飼っていましてね」彼は真面目な口調で見に来ないかと誘ってくる。
その話に乗った馬耳が離れを訪問すると、そこには確かに着物姿の美女がいて……。
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