遺された記憶
母・静花を亡くして1年ほど経った32歳の藤城智佳。
母が生前に書きとめていた日記帳を読んでみると、繁という男の存在が事細かに綴られていた。
父と結婚する前、繁と静花は相思相愛だったらしい。
だが、元々病弱の静花は、旅館を営む繁の仕事を手伝うことが出来ず、自ら身を引いたのだった。
そんな母の切ない想いを体感しようと、智佳は繁の経営している旅館を訪ねた。
しかし、旅館は数年前に廃業しており、当の繁も母と同じ時期に亡くなっていた。
途方に暮れる智佳だったが、繁の息子が近くに住んでいると聞き……。
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