塗れおんな(単話)
歴史ある日本家屋。
そこに一人住む主人公は、若いながらも洗濯くらいは自分でするようで、急に降り出した雨を呪いながらも、急いで洗濯物を取り込もうと、庭と縁側の往復を余儀なくされる。
すると屋敷の外で、雨に濡れるがまま一人ぽつねんと立つ女性に目が留まる。
主人公は、門扉を開けご用を聞くが、こちらの問いなど聞こえぬ勢いで、彼女は、屋敷を見せて欲しいと力強く懇願。
この女性、売れない画家をつづけながら、身一つで放浪の旅をしており、絵描きとしての感性が、偶然出くわしたこの日本家屋への興味を注いだようで、芸術家とはかくあるべしと言わんばかりのハイテンションをもって、屋敷内に上がりこみ、果てはお風呂までいただこうかの豪胆さを披露するのだった。
こうして、彼女が脱衣所に向かうのと同時に、再び静けさを取り戻しす邸内だが、主人公は一息つく間もなく、彼女の濡れた荷物に気づき、乾かしたほうがよいのではとそれに触れてみると、中からスケッチブックを発見。
まあ当然だろうと思いつつ、興味本位で中を覗いてみると、そこには、調教により悲痛な目に合う男たちが、被写体として描画されているのであった。
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