罪人の華燭
彼女の事について何から語ればいいのだろう。
その日の彼女は美しかった。
黒いベールの向こうの横顔は、あくまでも白く、伏せた瞳には一片の表情も無く、静かに夫を見送る喪服の彼女は、怖い程に美しかった。
トップモデルの座を捨て、40歳も年上の資産家と結婚した女。
夫の葬儀の日に、愛人に抱かれる未亡人。「ねえ乾杯をしましょう。
これからの私たちのために」2年間、私を苦しめた代償として、莫大な財産を私に残して。
遺産争いから逃れるように行った軽井沢で出会った青年。
彼はくったくなく眩しく、透明感のあるまなざしで、射るように私を見つめる。
私は身動きが取れなくなる。
そして優しい愛撫…。
このドレスを血に汚しても手に入れたい愛がある!!
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